
会社の福利厚生や経営者のリスク対策を考える中で、「全法連の保険」を検討する方は少なくありません。しかし、全法連とはそもそもどのような組織で、提供している保険にはどんな特徴があるのでしょうか。特に、株式会社の経営者や経理担当者にとって、保険料の引き落としや会費の扱い、そして何よりその経理処理は大きな関心事です。支払う保険料が損金になるのか、勘定科目はどうすれば良いのか、また保証会社の役割や、万が一退会する場合の手続きなど、疑問は尽きないでしょう。この記事では、全法連の保険料に関するこれらの疑問に一つひとつ丁寧にお答えし、その仕組みから具体的な会計処理までを網羅的に解説します。
- 全法連が提供する保険制度の全体像と仕組み
- 保険料が損金になるかなどの税務上の扱い
- 具体的な経理処理と使用する勘定科目
- 加入から退会までの実務的な手続きの流れ
全法連の保険料とは?制度の基本を解説
- 全法連とは何ですか?その概要
- 法人会と大同生命の関係は?保証会社は
- 福利厚生の保険とは?具体的な保障内容
- 法人保険に入る意味は?経営への備え
- 株式会社が加入する際のポイント
- 制度の退会方法と手続きについて
全法連とは何ですか?その概要

「全法連(ぜんほうれん)」とは、全国法人会総連合の略称です。全国の都道府県にある法人会を会員とする連合体であり、企業の健全な発展をサポートすることを目的としています。
法人会は、税務署の管轄区域ごとに設立されている公益社団法人で、税に関する知識の普及や適正な申告納税制度の確立を目指して活動しています。多くの企業がこの法人会に加入しており、その会員企業を対象とした様々なサービスの一つとして、福利厚生制度(団体保険制度)が提供されているのです。
つまり、全法連が直接保険商品を販売しているわけではありません。全法連は、会員企業のために保険会社と提携し、団体割引が適用される有利な条件の保険制度を企画・運営する役割を担っています。これにより、個々の企業が単独で加入するよりも割安な保険料で、手厚い保障を準備できるのが大きな特徴です。このスケールメリットを活かした制度が、多くの経営者に支持される理由の一つと考えられます。
法人会と大同生命の関係は?保証会社は

全法連の福利厚生制度を語る上で、引受保険会社である大同生命保険株式会社の存在は欠かせません。法人会と大同生命は長年にわたり提携関係にあり、全法連が提供する「経営者大型総合保障制度」などの主要な保険制度は、大同生命が引受保険会社として中心的な役割を担っています。
この関係性は、法人会の会員企業が保険に加入する際の窓口や手続きを大同生命が担当し、実際の保険金の支払いや契約管理も同社が行うという形で成り立っています。また、AIG損害保険株式会社などが引受会社となる傷害プランなども用意されており、生命保険と損害保険の両面から経営者をサポートする体制が構築されています。
ここで「保証会社」という言葉についてですが、この文脈でいう保証会社は、金融取引における債務保証を行う会社とは少し意味合いが異なります。全法連の制度は、全法連自身が保険契約者となり、会員企業が加入するという団体保険の形式をとっています。そのため、保険制度全体の安定的な運営を支える引受保険会社(大同生命やAIG損保など)が、実質的な「保障を提供する会社」と理解するのが最も分かりやすいでしょう。

専門家ゆう
はい!つまり、「全法連が企画し、大同生命などのプロの保険会社が商品提供と実務を担う」という強力なタッグで、会員企業にメリットの大きい制度を提供している、ということですね。
福利厚生の保険とは?具体的な保障内容

全法連が提供する保険は、企業の福利厚生制度を充実させることを目的としたものです。福利厚生の保険とは、企業が従業員や役員のために加入する保険のことで、これにより従業員の満足度向上や人材の定着、さらには万一の場合の事業保障など、様々な効果が期待できます。
全法連の代表的な制度である「経営者大型総合保障制度」を例にとると、その保障内容は非常に多岐にわたります。
主な保障内容
死亡・高度障害保障
経営者や従業員が死亡または所定の高度障害状態になった場合に保険金が支払われます。これは、死亡退職金や弔慰金の財源、あるいは借入金の返済資金など、事業保障資金として活用されます。
入院・手術保障
病気やケガで入院した場合の入院給付金や、手術を受けた場合の手術給付金が支払われます。これにより、治療中の収入減少をカバーしたり、安心して治療に専念したりできます。
がん保障
がんと診断された際に一時金が支払われる保障など、特定のがん治療に特化したプランも用意されています。治療の長期化や高額化に備えることができます。
これらの保障は、企業のニーズに合わせて自由に組み合わせることが可能です。経営者自身の万一に備えるだけでなく、従業員向けの福利厚生として導入することで、魅力的な職場環境づくりにも貢献します。
法人保険に入る意味は?経営への備え

そもそも、なぜ企業は法人保険に加入するのでしょうか。その意味は、主に3つの側面に集約されると考えられます。
第一に、「事業保障」です。経営者に万一のことがあった場合、会社の信用が低下したり、金融機関からの借入金の一括返済を求められたりするリスクがあります。法人保険は、このような事態に備え、事業を継続していくための資金(事業保障資金)を確保する有効な手段となります。
第二に、「役員・従業員の退職金準備」です。特に中小企業では、役員の退職金を計画的に準備するのが難しいケースも少なくありません。保険を活用することで、将来必要となる大きな資金を平準化して積み立てていくことが可能です。
そして第三に、「福利厚生の充実」です。前述の通り、手厚い保障制度があることは、従業員にとって大きな安心材料となり、働く意欲の向上や優秀な人材の確保につながります。全法連の制度は、比較的安価な保険料で充実した保障を提供できるため、特にコストを意識する中小企業にとっては非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
株式会社が加入する際のポイント

株式会社が全法連の保険制度に加入する際には、いくつかのポイントを意識することが求められます。
まず、加入の目的を明確にすることです。経営者の事業保障のためなのか、役員の退職金準備のためなのか、あるいは従業員全体の福利厚生のためなのか。目的によって、誰を被保険者(保険の対象者)にし、どの程度の保障額を設定するかが変わってきます。
次に、保険料の負担とキャッシュフローへの影響を考慮する必要があります。全法連の保険は割安とはいえ、保障内容を手厚くすれば当然、毎月の保険料負担は大きくなります。会社の資金繰りを圧迫しないよう、無理のない範囲でプランを設計することが肝心です。
また、株式会社の場合、加入に際して取締役会の承認が必要になるケースがあります。保険契約が会社の経営に与える影響などを考慮し、社内規定に従って適切な手続きを踏むようにしましょう。

専門家ゆう
特に重要なのが、保険金受取人の設定です。法人が契約者となって保険料を支払う場合、保険金の受取人は原則として「法人」に設定します。これにより、受け取った保険金を事業保障資金や弔慰金の支払いに充てることができるのです。
制度の退会方法と手続きについて

全法連の保険制度からの退会(脱退)は、いつでも可能です。会社の経営状況の変化や、保障内容の見直しなど、様々な理由で脱退を検討するケースが考えられます。
手続きは、所属している地域の法人会、または保険契約の窓口となっている大同生命の担当者などに連絡することから始まります。通常、所定の「脱退届」などの書類が用意されているため、必要事項を記入して提出します。
退会時の主な注意点
脱退手続きが完了した時点で、当然ながら保険の保障はなくなります。脱退後に別の保険で保障を確保する予定がある場合は、新しい保険の保障が開始される日(責任開始日)と、全法連の制度の保障が切れる日に空白期間ができないよう、タイミングを慎重に調整する必要があります。
また、法人会自体を退会すると、会員資格を前提とする全法連の保険制度も自動的に脱退扱いとなるのが一般的です。保険制度のみを辞めるのか、法人会自体を退会するのかによって手続きが異なる場合があるため、事前に確認しておくとスムーズでしょう。
全法連の保険料に関する経理と実務
- 保険料は損金として算入できるか
- 経理処理で使う勘定科目
- 会費の引き落とし日と支払い方法
- まとめ:全法連の保険料を正しく理解する
保険料は損金として算入できるか

法人保険を検討する上で、経営者が最も気にする点の一つが「保険料が損金になるかどうか」でしょう。損金とは、法人税を計算する上で、会社の利益(所得)から差し引くことができる費用のことです。損金として認められる費用が多ければ、その分、課税対象となる所得が減り、結果として法人税の負担を軽減する効果があります。
結論から言うと、全法連の「経営者大型総合保障制度」のように、役員や従業員を被保険者とし、法人が保険料を負担する1年更新の掛け捨て型定期保険の場合、支払った保険料の全額を損金として算入することが可能です。
全額損金算入が可能であることは、企業にとって税務上のメリットが大きいと言えます。ただし、これはあくまで現行の税法に基づく取り扱いです。税制は将来変更される可能性もあるため、加入を検討する際や、決算で経理処理を行う際には、必ず顧問税理士などの専門家に確認することが不可欠です。
経理処理で使う勘定科目

全法連の保険料を支払った際の経理処理では、どの勘定科目を使うかがポイントになります。保険の内容が従業員の福利厚生を目的としているため、一般的には「福利厚生費」という勘定科目を使って処理します。
例えば、毎月5万円の保険料が口座から引き落とされた場合、仕訳は以下のようになります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 福利厚生費 | 50,000 | 普通預金 | 50,000 | 全法連 経営者大型総合保障制度保険料 |
この仕訳により、支払った保険料が費用として計上されます。
ただし、保険の加入目的や被保険者が役員のみに限定されている場合など、実態によっては「福利厚生費」ではなく「保険料」や「支払保険料」という勘定科目で処理するケースもあります。どちらの勘定科目を使うべきかについては、企業の会計方針や、税理士の判断によっても変わることがあります。自社の経理規定を確認したり、顧問税理士に相談したりして、一貫した処理を行うことが大切です。

専門家ゆう
勘定科目の選択は、税務調査などで指摘を受けやすいポイントでもあります。なぜその勘定科目を選んだのか、合理的な理由を説明できるようにしておくことが、経理担当者としては重要ですね。
会費の引き落とし日と支払い方法

全法連の保険制度を利用するためには、まず地域の法人会へ加入し、その会費を支払う必要があります。この法人会の「会費」と、保険制度の「保険料」は別物である点を理解しておく必要があります。
支払い方法としては、どちらも口座振替(自動引き落とし)が一般的です。
法人会費の引き落とし
法人会の会費は、通常、年1回、指定した金融機関の口座から引き落とされます。引き落とし日は法人会によって異なりますが、事業年度の開始月に合わせて設定されることが多いようです。会費の金額も、企業の資本金の額などに応じてランク分けされています。この法人会費は、税務上「租税公課」や「諸会費」といった勘定科目で処理し、損金として算入できます。
保険料の引き落とし
一方、保険料は、毎月または年1回の支払いが選択でき、こちらも指定口座からの引き落としとなります。引き落とし日は保険会社によって定められており、例えば「毎月27日」など、決まった日になります。残高不足で引き落としができないと、保障が失効してしまう可能性もあるため、口座の管理には注意が必要です。
このように、会費と保険料はそれぞれ異なるタイミングで引き落とされるため、混同しないように管理することが大切です。特に経理上は、それぞれ異なる勘定科目で処理する必要があるため、通帳の摘要欄などをしっかり確認しましょう。
まとめ:全法連の保険料を正しく理解する

この記事では、全法連の保険料について、制度の基本的な仕組みから具体的な経理処理、さらには実務上の注意点までを詳しく解説しました。最後に、本記事の重要なポイントをまとめます。
- 全法連は全国法人会総連合の略称
- 会員企業向けの福利厚生制度として団体保険を提供
- スケールメリットにより割安な保険料で手厚い保障が可能
- 主な引受保険会社は大同生命やAIG損保など
- 保障内容は死亡保障や医療保障などを組み合わせられる
- 主な目的は事業保障・退職金準備・福利厚生の充実
- 経営者大型総合保障制度は基本的に掛け捨て型
- 保険料は会社のキャッシュフローを考慮して設定する
- 加入には株式会社の取締役会承認が必要な場合がある
- 保険料は原則として全額を損金に算入できる
- 税務上は「節税」ではなく「税の繰り延べ」と理解する
- 経理処理の勘定科目は「福利厚生費」が一般的
- 法人会の会費と保険料は別物として管理する
- 支払い方法は口座引き落としが基本で残高に注意
- 税務や会計処理は必ず専門家である税理士に相談する
全法連の保険料は、税務上のメリットだけでなく、企業の安定経営と従業員の安心を支える重要なツールです。この記事で得た知識をもとに、自社にとって最適な活用方法を検討してみてください


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